相当遅くなりましたが、鹿島アントラーズの2020シーズン振り返り記事です。
ザーゴ新監督を迎え、常勝を取り戻すために自ら変革する道を選んだ2020シーズン。
どのチームよりも短いシーズンオフで多くの選手が入れ替わり、さらに新型コロナウィルスの感染拡大による4か月以上の中断。
新生アントラーズの船出となった激動の2020シーズンを振り返ります。
シーズン初めに書いたプレビュー記事もご参考に。
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■4か月の中断がマイナスに
元日の天皇杯決勝からわずか27日。
これまでとは異なる方向性の新監督を迎え、さらに多くの選手入れ替えがある中での一発勝負は自力で何とか勝ち抜けるほど甘いものではありませんでした。
この後、ルヴァンカップ、J1リーグとそれぞれ初戦を落とし、新シーズン3連敗となったところで、新型コロナウィルスの感染拡大による中断となりました。
通常の中断であれば、その期間でザーゴ監督の戦術をチームに落とし込めるための準備期間となって、いい方向にはたらくのですが、ステイホームが叫ばれる中でチーム練習など叶うはずもなく、中断明けも低空飛行を続けることに。
ザーゴ体制での初勝利は公式戦7戦目の第5節横浜F・マリノス戦まで待つことになりました。
初勝利こそ上げたものの、その後も戦績は一進一退。
実戦を重ねていくことで連携面や戦術の浸透こそ進んでいるものの歩みは遅く、史上まれに見る過密日程下で、練習に割ける時間が限られていることが要因と言え、ザーゴ監督そして鹿島アントラーズにとっては不運としかいいようのない状態でした。
■若手の台頭とともに上り調子に
ターニングポイントになったのは第9節鳥栖戦。
プロ3年目にして公式戦初出場となった20歳GK沖が無失点に抑え、途中出場した高卒ルーキー荒木、染野が試合を決定づける2点目に絡みと、次代を担う若手の台頭が上り調子へのきっかけになったように感じました。
ザーゴ監督の求める後方からのビルドアップに、大ベテランのクォンスンテや曽ヶ端が今から対応するのは難しく、沖の台頭がなければもっと苦しい戦いが続いたのかもしれません。
そして次の試合でも敗北寸前のチームをラストプレーのアシスト、ゴールで救った荒木、染野。
そしてGK山田、MF松村を含めた高卒ルーキーカルテット。
シーズンを追うにつれ彼らの活躍ぶりはトーンダウンしてしまった感が否めませんが、まだ高卒一年目でこれだけできれば十分。
来シーズンはもっとやってくれるでしょうし、そうなればクラブの未来は明るいと言えます。
8月下旬~9月下旬まで破竹の7連勝を飾ります。
内容的にもチームの成長が垣間見えて、この試合のように安心してみていれるゲームもあり、逆に先制されてもひっくり返す反発力も見せてくれました。
好調のチームの中心にいたのはエヴェラウド。
彼がチームにフィットするにつれ、馬力・決定力に長けた本来の持ち味を発揮してくるようになり、それにより彼に依存しすぎる状況を招き、停滞期へと入っていったのでした。
■勝ち続けることの難しさ
どんな強いチームでもずっと勝ち続けることは難しく、当然相手に研究されますのでそれにより良さが消され、個々の選手もずっと同じ調子でというわけにもいかずと、いろいろ要因はあります。
今年のアントラーズの場合は、エヴェラウド依存が増し過ぎていたことが大きかったように感じました。
相手にもそれが読まれてしまうことで対応が容易になったこと、チーム自体もまずはエヴェラウドという意識が強すぎて本来のサッカーができなくなって自ら選択の幅を狭まてしまっていたのが要因で、それにエヴェラウドの勤続疲労も重なってしまったことでの停滞期と感じました。
■エヴェラウド依存の脱却は上田綺世の復調
エヴェラウド依存の脱却のきっかけになったのはこの試合。
途中から入った上田綺世を中央に配置し、エヴェラウドを外に逃がしたことで、バランスの取れた攻撃を取り戻し、相手のマークも分散し、エヴェラウド、上田綺世それぞれが持ち味を発揮できるように。
エヴェラウド、上田綺世の高さ、強さそして決定力を兼ね備えた破壊力抜群の2トップはシーズン後半のスタメンとして定着して得点を量産し、ACL出場権まであと一歩と迫りましたが、あと一歩及ばず。
ザーゴ新監督を迎え、常勝を取り戻すために自ら変革する道を選んだ2020シーズンは5位に終わりました。
5位という結果は、シーズン当初のチーム状態を考えれば、よくぞここまでと上出来と言っていい順位で、よくても中位ぐらいかなと思っていたので、これはうれしい誤算で来シーズンへの期待がいやがおうにも高まってくるものでした。
■今年一番飛躍した選手
GKの沖を選びました。
大きく成長した選手が多くて大変悩みましたが、彼の安定したビルドアップや数多のビッグセーブなくして5位という結果はなかったかなというのが一番に選んだ最大の理由です。
本来GKに一番求められるゴールマウスを守る能力はクォンスンテや曽ヶ端といった大ベテランにはまだ敵わないかなというのが正直なところですが、20歳という年齢を考えると安心して任せられる力は十分にあり、それに加えて彼の持ち味である足元の安定感は、ザーゴ監督の求める後方からのビルドアップにうってつけで、(無事開催されればですが)東京五輪の代表GKの座も狙えるほどの力を見せてくれたと思います。
もう一人選ぶとすればCB犬飼ですかね。
すっかりディフェンスリーダーとしての風格が出てきたことからわかる通り、レギュラーの座を不動のものにした今シーズン、守備面での向上以上に目立ったのが攻撃面での貢献。
後方から一発でチャンスにつなげる裏抜けのフィードが特にシーズン後半目立ち始めましたよね。
経験のある奈良が加入し、若手の関川、町田も成長している中で、犬飼が軸となる存在に成長してくれたことでCBの層が一段と厚みが増してきた2020シーズンでした。
以上、鹿島アントラーズ2020シーズン最後の記事となりました。
2021シーズンプレビュー記事でお会いしましょう( ´ ▽ ` )ノ
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